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いい刑事と悪い刑事方式

 昔の刑事ドラマなどで、椅子の脚を蹴って被疑者に無理矢理容疑を認めさせようとするいわゆる悪い刑事と「カツ丼食べるか」と言って被疑者の心を開いていくいい刑事が出てきましたが、(実際のところカツ丼は明らかに利益誘導に当たりますからどっちも悪い刑事なんですけどね)塾講師も保護者さんがとても厳しければ、優しくしてあげないといけないですし、保護者さんが厳しくできなければ塾ではきつく叱ってあげないといけないと思っていました。要するに椅子の脚刑事ばっかりとか、カツ丼刑事ばっかりだったらホシは吐かない、勉強しない生徒はしないままと思っていたわけですよ。しかし、実際のところ、そうとばかりも言えない。事態はもっと複雑で曖昧なのだということに気づきました。

 まず、生徒は子どもであるということ。そして、保護者さんが子供から見て厳しく見えたとしても、表現がうまく伝わっていないだけということもよくあります。親が厳しければ優しく、親が甘ければ厳しくというほど単純ではないようです。

生徒は子どもである

 まず、生徒は子どもであるということを我々は頭においておく必要があります。子どもは平気で嘘をつきます。言い逃れをします。そして、それを正当化します。自分で責任を取らず他人のせいにします。勉強したくない気持ちは理解できなくはないのですが、我慢はした方がいい。勉強したくないのは環境のせいなのか、しかし勉強したくなくてもしなければ成績は上がらない。合格もできない。そうやって正当化して「あんたのせい」と言いながら大人になっていくのか、あるいは大人になってあの時自分が勉強しなかったから自分が悪かった、自分はダメな人間だなんて極端なことを思ったりしないのだろうか。私は、少し心配してしまうのです。

 性格だからしょうがない、変わらないという部分もあると思いますが、ある程度性格は鍛えられる部分は必ずあります。強みを見つけて没頭する、そしてそれを継続すること。「やる気」はないしスイッチもないらしいです。残念ながら、「やる気」は虚像らしいですよ。「やる気」は行動から起こるので、行動がなければ「やる気」は起きない。そして、習慣として身につけば「やる気」など必要ないということらしい。

 

 

保護者さんの表現が子どもに誤解を与えていることもある

 生まれつき繊細な子供だと、まったく普通では考えられないようなことで傷ついてしまうことがあります。傷つきやすい子供とずっと向き合って関係を築き上げるには、あまりにも時間がなさすぎると思うのです。現代のご両親はとても忙しく、子供にかかりっきりになる程時間は取れませんし、子供が子供ゆえに訳のわからないことを言って親を困らせた後に、反省したとしても「もう怒っていませんよ。悪いことは悪いとわかったらよろしい」ということを伝えることもできないのかもしれません。しつけは大事ですが、愛情があればそれでいいと思います。「悪い子などいない。ただ、寂しい子がいるのだ」と、外国で叱られてなじられている子どもを見て、連れが言っていた言葉です。

まとめ

 厳しくしたり、褒めてあげたり、そうすれば子どもは勉強をするのかというと、そんなに簡単なことではないです。ましてや、誰かが厳しいから甘やかすとか、誰かが甘いからこちらサイドでは厳しくとかそういうものでもないです。でも、どっちか選べといわれたら私は迷わず悪い刑事のタイプなんだけれど。