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子どもこそ、お金について真剣に考えよう

佐藤航陽/著,『お金2.0新しい経済のルールと生き方』,幻冬舎を読みました

 夏休みの読書感想文のためというわけではないのですけど、最近立て続けに本の話ばかりしておりますが、お金の話を子どもにするとなると、なかなか子ども向けの本を選定するのは難しいのではないかと思います。ましてや、小さいお子さんに読み聞かせするとか、相当変わった家庭のような感じもしますので、ある程度お育ちになったお子様といろいろ考えてみて、自由研究のネタにできるような感じのことをかければいいなと思っています。今日は、お金と経済の話です。今回もネタバレです。解釈が間違っていたらごめんなさい。経済の分野にはちょっと疎いのですがこれから真摯に学んでいこうと思っております。

 この本では主に経済が「資本主義」から「価値主義」へと移行しているということについて書かれています。

 では、「価値主義」とは何かというと、クラウドソーシングやブロックチェーン、ビットコインやSNSなどが発達し、お金の流れが「自律分散」し、経済の民主化が起こってお金そのものに価値がなくなり、増やすことの難しい「信頼」「時間」「個性」などの価値が上がっていくという経済構造のことです。わかりやすい例えが書かれていましたが、貯金ゼロでもツイッターのフォロワー100万人の人は資金と知恵を集めるのが容易な世の中ということですね。

 現在、世界経済の上位1%の富裕層が世界全体の富の48%を所有していて、「上位80人」と「下位35億人」の所得がほぼ同じで世界に流通する9割は消費経済より資産経済で生まれているので、お金の価値が下がると言われてもピンと来ませんが、これから労働が機械に置き換わっていき、ベーシックインカムが普及すると、働き方も収益構造も今とはまったく変わってしまいます。そうなると、わりと近い将来そうなってもおかしくはないですね。

 資本主義経済では、取引を繰り返していくうちに格差が生まれていくのは当たり前のことで、お金を生み出すこと、手段が目的化してしまったためにお金にならないものがまるで無価値のように評価されています。筆者は、経済システムにも寿命があり、資本主義の限界をむかえているとの見方です。

 マルクスの社会主義は、お金の新陳代謝を悪くするという自然の構造からかけはなれた仕組みだったために崩壊したという見方もなるほど納得がいきます。しかし、完璧な経済システムなどなく、評価経済の落とし穴は、「注目されること」により価値をおき(炎上商法みたいなものがその例ですね)そのものの価値を下げているという欠点にも触れています。

 では、これからはどのような生き方を選ぶべきかというと、1日中やっても苦痛でないことを探すことだといいます。格差を固定化せずにどうすれば社会が活気を持てるかを考えることが重要だと筆者はいいます。格差が悪いと言って、悪者叩きをして憂さ晴らしをしても変わらないのだから。

 得意なことを伸ばして努力するとそれが収益化と幸福につながるなら、決して悪い未来ではないということなのでしょう。少なくとも、人生は運ゲーじゃないから。努力せいってことかな。