『チャンクで英単語Basic』評ー学校で買わされる単語帳の代表格かも知れないので、小声で言ってみる批判

『チャンクで英単語』が問題なのではない。Basicでは、対応できないのでは?

 高校では大抵英単語帳を配られていますが、生徒さんが夏休みの課題に苦戦していたようだったので、ちょっと中を見ていき、やはり問題は単語だなぁと思ったので、単語帳について今日は書いていこうと思います。

 昨日気づいたのは、夏休みのワークブックが普段使っている単語帳のレベルと全然合っていないという点です。全国的に見て、クラウンの『チャンクで英単語』を使っている学校は多いと思いますし、悪い単語帳でもないと思います。しかし、高校1年生でBasicを使用するということに疑問を感じました。夏休みの課題をスムーズに読むには最初からstandardレベルや『ターゲット1400』『システム英単語ベーシック』あたりから始めるのが妥当なのではないかと。問題は、中学ではほとんどの学習を文法学習にあてられ単語はあまり覚えなくてもいいという風潮ですね。都会ではそうでもないのかも知れませんが、単語をあまり覚えなくても高校入試に対応できてしまうので、あまり単語を知らないまま急に『ターゲット』や『シス単』に移行すると難しすぎて挫折ということは考えられます。しかし、昨日のワークブックには『チャンクで英単語ベーシック』でカバーできない単語が多かったので、これはワークの選択ミスというより単語帳選択の誤りではないかと思いました。

 学習塾に通っている生徒さんは、レベルに応じて別の単語帳を持っていると思います。しかし、学校はすべての生徒さんに同じ単語帳を渡すことになりますので、不幸にもレベルが合わなかった生徒さんたちは独自に何らかの形でそれを埋めていく必要があるのです。夏休みのワークでそうなのだから、2年に上がったときに試験が急に難しくなったと感じるのは当たり前だと思います。単語の意味や解説が書いてある参考書のような作りになっていなければ、生徒はずっと辞書を引きながら問題を解くことになりますので、時間の無駄だと思います。これでは、インプットなしにアウトプットする作業のように見えてしまうからです。

 

 『チャンクで英単語』のいいところ、悪いところ

◇ よいところ

・ チャンク(かたまり)で単語を覚えるという発想がよい

・ とても見やすい

・ 枠外に、コラム(派生語や用法、構文など)が載っている

◇ 悪いところ

・『シス単』はベーシックと合わせても2冊なのに『チャンク』は3冊。

・ 単語をもっと深く知るなら『鉄壁』が詳しい。なんか中途半端。

・ そもそもこのレベルの単語を覚えていない生徒にチャンクで覚えさせるという無駄

 あくまでも、個人的な意見ですのでこれが使いやすい人はこれを使って是非学習して欲しいと思います。ちゃんと3冊やったらとても身につくと思います。しかし、大抵の場合、途中で英語の先生が代わったり、standard辺りまでは面倒を見てもらえるけど、「その後は自分でやってね」と放置されるのであれば、計画的に単語を覚えていかないと大学入試英語には対応できないと思います。ターゲットやシス単を使っている人でもその後『リンガメタリカ』や『アカデミック』などを覚える方がいらっしゃると思います。分野別単語帳までやれるならやった方がいいと思います。

『チャンクで英単語』の中途半端な印象

 何を上から偉そうにと思われるかも知れませんが、これは上から目線の意見ではなくどちらかというと下から目線ということで、冷静に考えて読んでくだされば幸いです。私は学習能力が低いので、これでは効率よく学べない自信があります。

 私が、中途半端だと思ったのは、チャンクなら『シス単』、単語をもっと詳しく解説したものは『鉄壁』があるので、それに比べればどうしても見劣りするということです。イディオムならイディオム集を使った方がいいのではないかと。大抵の場合、単語が覚えられない人はかたまりになって3語4語に増えた時点で覚える気が失せるのではないでしょうか。それに、どの単語帳でも見出し語の単語を使った例文はたいてい載っています。

 そして、全体的にごちゃごちゃしているので、『ターゲット』のように“ごりごり何周もまわして一気に単語のみを覚える”という作業に不向きです。左端に英単語が来ておらず、右のとじ部側に英単語が並んでいて、折って使うことができないのも折って使いたい人には使いづらいと思います。

 そんなわけで、批判めいたことを書いてしまいましたが、単語帳は好みがありますし、当然3冊くまなく覚えたら間違いなく単語力はつくはずです。ただ、学校で使われている教材よりも明らかに易しい単語しか載っていなければ学校指定プラスαのことをやる必要がありますので、Basicを高1でやるというのもどうかと思って小声でつぶやいてみました。

 私は、個人的に「英検準1級を高3までに取る」ということをお勧めしているので、被りが少ないと思う点で、ターゲット→パス単準1級の順に覚えていくのがいいのではないかと思っています。英検やTOEICを受験するなら“それ用”のテキストを使った方が効率的です。難関私大や、クセのある問題を出してくる大学を受験するのであれば単語帳はよく考えて選んだ方がいいですよ。

 

りすはカレーに合う

今日はジビエの話をしよう

 ジビエというのはご存知でしょうか。私はよく知らない。よく知らないのに書くのかぁい、と。まあまあ、私は料理人ではないのでそんなに詳しくはないのだけれど、今日は野生の動物を獲ってきて食べちゃったよという話です。今日はそういうゆるい感じでブログを進めたいと思っています。いつもいつも英語の話とか本の話ばかりというのもなんだし。それで、今日は私が外国で食べた野生の動物の話などをつらつらと書いてみようと思っています。

 私はイギリスにしばらく訳あってホームステイしていたことがありまして、その間にいろんなものを食べました。そこで見聞きした面白い話や失敗談なんかも追々書いていこうかと思います。面白い話かどうかはわからないけど。

 さて、まず最初にウサギを食べた話。ステイ先はイギリス東部のロウストフト。イギリスを右向きのゴジラに見立てると、ちょうどゴジラの膝小僧さんの先端がイースト・ポイント(最東端)で、その辺りがロウストフトのビーチです。最東端といっても、地味なポイントで、とくに何もないんですよ。記念碑とかなんとかがあるわけでもないです。ほどよく田舎で素敵な街です。

 その辺りには野ウサギがたくさんいて、結構あちこちでぴょんぴょんやっていました。ちなみにウサギを英語でいうとラビットrabbit。みんな知ってると思うけど。でも、野ウサギって、ラビットって言わないんですよ。野ウサギはヘアhareといいます。髪はヘアhair。相続人はエアheir(hは黙字)。紛らわしいですね。そしてそれをうちのツレが銃でパンパン撃って料理してくれていました。味は、そんなに印象的ではなかったですし、一流料理店で食べたわけではないから、ちょっとこってりしたソースにどぶんって入れて食べて、あーちょっとカタいなあとか…そんなもんだったと記憶しています。ツレのお父さんなんかは野生のウサギは病気を持っているから食べないというし。まぁ、人体に影響はないしちゃんと調理するんだから大丈夫といわれたので、私はもりもり食べたんですけども。幸い私は、このブログを書いている時点でまだ生きております。

 

 

 次に食べたのが、鹿(deer)。私が行ったときには解体され、冷凍された状態になっていました。聞けば家の近くの森をツレが運転中に暗い道ではねてしまったらしく、人をひいてしまったんじゃないかとびっくりして車を降りたら鹿がぐったりしていて、お母さんに言ったらたいそう悲しむだろうから裏庭でこっそり解体して冷凍庫に入れておいたんだという代物でした。ツレのお母さんは、ベジタリアンでしたけども、かなりいい塩梅に大きくお育ちになっていました。横に(笑)。それで、その冷凍子鹿は、いくら解体したとはいえすごく大きく、一人では食べきれないので実家のお父さん用と自宅用と実家のお隣さん用に分けて配ってまわったんですと。子鹿はイギリスといえどもめったに食べられない高級食材なのでお隣さんにも大好評。お隣は気のいいおっちゃんで、エノキを手に入れたと得意げに言うので、見せてもらったら「それシメジやん」と微妙に間違っていたのでした(笑)。さて、その子鹿の味ですが、その辺りの鹿はベリー類なんかを食べていると聞いていたので甘くていい香りの肉を想像していたところ、ちょっと複雑な味で、私の好みではなかったです。頭も味覚もシンプルな私にその美味しさは理解できませんでした。

 さて、その他に食べたものはリス。スクイラル(squirrel)です。シマリスくんはチップマンク(chipmunk)といって英語では分けられていますが種類としては大きくは同じネズミの仲間で同じリスの種類です。われわれが食べたのはスクイラルの方です。ロウストフトのリスはもともと土着のものではなく、ペット用に持ち込まれた外来種が野生化したものらしいです。所謂、害獣で農家の人々には迷惑な生き物でしょうが、もともとペットとして持ち込まれているだけあって可愛い生き物でした。おいしくいただくことにしたわけですけど(←結局食べている)。お味は、この中ではダントツのおいしさ。カレーに入れてリス・カレーにしました。お肉がチキンみたいにさっぱりしていて、チキンよりも柔らかい。意外でしょ?

 とまあ、本日は野生の生き物を食べてみたという話でした。よかったら動物を表す単語もいろいろ覚えてみてね。などと最後は若干英語講師らしいことをいってお茶を濁すのでした。おしまい。

 

英検準1級の英作文

書き方はパターンが決まっている

 

 英検準1級の英作文は構成がパターン化されていて、同じように書いていくと文字数も時間もだいたいちょうどいいぐらいになります。トピックは教育、社会、環境、科学技術などから出題され、序論・本論・結論の3部構成で書いていきます。質問の内容は「◯◯は将来××になるか」「◯◯は××すべきか」のように、肯定的意見と否定的意見のどちらかを求められるパターンです。ですから、序論で自分は肯定的な意見をもっているのか、否定側意見なのかを述べます。次に、本論では2つ例を挙げて自分がなぜそう思うのか、具体的根拠を示します。そして、結論でまとめます。

 例えば、「携帯電話は学校で使用してはいけない」というトピックに対し、序論で「私は携帯電話は学校で使用すべきでないと思います」とか「使用は許されるべき」とかを最初に言います。「なぜなら、それは◯◯だからです」のように、抽象的な理由を述べ、次に「それには2つ理由があります」のような形で本論に続けます。抽象的な理由というのは、「携帯電話を学校で使用してもいい」という意見だとすると「携帯電話を学校で使用してはいけないというのは、◯◯で△△なので、もはや時代遅れな考え方だからです」のような答え方にすると次に続けやすいです。「◯◯」と「△△」というのを本論で「こういうところが時代遅れな考え方なのだ」ということを説明すればいいからですね。

 そして、本論で「第一に…」「第二に…」と具体的な理由を書いていきます。「第一に…」と理由を書いた後に、その具体例を挙げて「このことは、◯◯につながります」とかそれをすることによってこのようなメリットがあるからですよということを書きます。2文、3文書いて「第二に…」と、同じような具体例を挙げて結論に持っていきます。

 結論は、「上述のように…」「結論として…」のようにして締めくくればOK。このような構成で書くとちょうどいい量になります。

 文法的なミスをなくして、論理的に書くようにすれば大きく減点されることはないと思います。2級よりも文章が長くなっていますので、書き慣れていないとかなりミスが出やすいパートとなっていますので、決まり文句を覚えておくのは時間短縮になります。

 

 あくまでも、ここでは肯定、否定意見の優劣が求められるのではなく、論理的な説得力が求められていますから、どちらを選んだからよいということではありません。普段からシンプルに論理的に物事を説明できるように訓練しておくとよいと思います。言い換え表現をたくさん知っておくと書きやすいです。日頃使っている日本語を英語にそのまま訳すと、堅くて難しい表現になってあとが続かなくなるかも知れません。できるだけ易しい言葉に直して素速く書ける能力は必要です。そして、抽象から具体に文章を流していくのが重要です。

 

英検準1級に一発合格するために②

英検準1級、合格のカギは単語と英作文

 まずは単語をパス単を使って覚えるのが大事。最初にやるべきは単語暗記です。効率よく学ぶためには、やることを絞りましょう。

 おすすめは、定番の旺文社が出している「パス単」です。「パス単」以外に「文単」というのもあります。なぜそれらを使うかというと、英検を受けるなら英検用の単語帳(しかも級別に分かれている)を使った方が効率がいいからです。

 「文単」は読み物としても面白く、CD付きでリスニングやオーバーラッピング、シャドウイングにも使えます。しかし単語の網羅性から見て単語暗記を目的とするなら「パス単」を使った方が効率的だと思います。

 単語帳には好みがあるので、こういった長文型の単語帳「速読英単語」のようなもので単語を暗記するのが絶対にいいとやたら勧めてくる先生方もいらっしゃると思います。しかし、私はこの長文型単語帳はかなり「人を選ぶ」と思っています。特に、単語を覚えるのが苦手、暗記が苦手、続けられないという人にはお勧めしません。スポーツのように繰り返して反射的に出すという訓練には向かないからです。結局、だらだら読んでしまい、中途半端にやって時間を無駄にする可能性があります。しかし、準1級を受けるレベルの人は単語が覚えられない、英語の学習が苦痛という人がほとんどいないと思いますので、好みで選ばれればOKです。

 「パス単」は、読解に自信があれば2/3ぐらい覚えていると合格点には達すると思います。しかし、1/3以下ぐらいの単語レベルで受けると筆記で足を引っ張る可能性が高いです。初めは、単語のベースを固めて英作文なりリスニングに入った方がいいと思います。

 実際、私は準1級の単語ならほとんど覚えた状態で受験したのですけど、同じ時期に受験した生徒さんの話では2/3ぐらい覚えて受験していたようでした。それでも筆記は8割以上取れたと言っていましたので目安にはなると思います。

 イディオムはあえて覚えず捨てました。イディオムは日頃覚えている程度で十分です。イディオムは問題数に対し、覚える量が多いため、ここでイディオムをちまちま覚えるよりはもっと点数が稼げるところできちんと取ることが重要だと思います。とはいえ、イディオムも間違えることなく、語彙問題はパーフェクトでしたよ。まあ、ラッキーだったとも言えますが。リスニングを甘くみていたので、ヒヤッとしましたけど。

 単語をある程度覚えたら、かなり長文の方は読めるようになるのではないかと思います。そこで、合否を分けるのは英作文になると思います。学校にもよりますが、ライティングを日頃から学習する機会があまりなければ対策をしておく必要があります。昨日、ジャパンタイムズの『完全制覇』をお勧めしていたのは、独学である程度英作文の構成からよく使う表現を学習することが可能だからです。このテキストは、最後の章に実践問題が載っていて、実際に自分が書いてみて模範解答と照らし合わせることで少なくともどれぐらいの量をどのような構成で書いていくか、どのようにつないでいくかなどが解ります。肯定的意見と否定的意見の両方がありますから、自分は肯定的意見しか浮かばなかったという人でも否定的意見を読んでみると違った切り口や発想を学ぶことができます。

 では、英作文の構成はどのようにすればいいのか、明日詳しく書いていきたいと思います。ほんじゃ、今日はこの辺で。

 

 

英検準1級に一発合格するために

学校で受験勉強をしながら英検準1級に合格するには

 高校生は英語だけやっていく訳にはいかないので、時間が限られていると思います。しかし、時間がたっぷりあればだらけてしまい、かえって勉強しないものです。中学1年生ぐらいから学校で英語を学習し始めても、コツコツ学習して高校卒業までに準1級を取ることは可能です。そして、準1級は2級よりもより加点が高く、他に強い教科があれば、準1級でみなし満点を使うのもオススメです。英検の級に応じて加点されるところもありますから、そこで準1級が活きてくるということもあります。いずれにせよ、準1級はかなり使える方だと思っていいでしょう。

難易度が高く、センターや共通テストより難しい

 難しいには違いないのですが、それでも英検をおすすめする理由は、センターや共通テストより前から受験可能で、1発勝負ではないこと。確かに、マーク模試は何度か受けることができますが、模試は模試。本番ではありません。本番で自己ベストを叩き出す人も当然いますし、実際自己ベストで合格した人も知っています。逆に、最悪のコンディションで受ける人も多くいます。この時期は非常に寒く、毎年センターの時期は雪が降ることが多いです。風邪やインフルエンザが流行っている時期でもあります。だから、早めに英語だけでも合格しておいたら随分気が楽です。では、その具体的な方法を書いていきます。

英検は3級、準2級、2級と段階的に受験した方がいい

 個人的には、受けておいた方がよさそうだと思います。しかし、自信があれば、特に受ける必要はありません。ただし、慣れもありますし、段階的に難しくなっているので一歩一歩ステップアップしていくという意味で、3級ぐらいから受験すると心理的に負担が少ないのではないかと思います。目安としては、高校1年のどこかで2級が取れていることが望ましいです。結局、2級と準1級の差は暗記する単語の量ぐらいなのですが、その差を埋めるには、かなり集中的に準1級単語を覚えておく時間が必要になります。当然、学校や塾で、通常学習するものを理解しながら単語も覚えなければなりません。覚えなければならない単語が3級から2級までの比ではないため、2級を取ってから単語を覚える時間が少しあった方がいいので1年の間に是非2級までは取るというのを目標にしましょう。

準1級は文法問題はないが、文法は日頃から学習しておいた方がいい

 最初の語彙問題の出来不出来で筆記の結果が変わってきますが、文法も怠ってしまっては長文が読めません。結局、センターや共通テストでかなりのハイスコアが取れるレベルでなければ点数は伸びません。1次のリーディング、ライティング、リスニングの試験は合格最低点がほぼ7割です。偏っていても大丈夫。8割強が2つあればもう1つは半分ぐらいでもなんとか合格できます。

テキストと学習の手順

 まずは、学校の文法とか模試の問題などをきちんと学習し、マーク模試だと8割ぐらい取れるようになっていることが求められます。まず、単語を

 ●でる準 パス単 英検準1級/旺文社  

 ●文で覚える単熟語/旺文社

を使ってひたすら覚えます。だいたい2/3ぐらい覚えていないと厳しいです。

 その後、単語が大体覚えられたら、

 ●過去問(全問題集)を解く。時間を計る→時間無制限で解く

 ●時間を計ってライティング(かならず先生またはネイティヴにチェックしてもらう)

 ●全問題集別売りのリスニングCDを聴く

という手順です。実際、それぐらいしか必要ないです。それをやるまでに、学校で学習しているテキストなどをきちんと理解するのが必要なのです。

 本当にこれだけ。ライティング用教材はジャパンタイムズから出ているライティング完全制覇という本がおすすめ。

 たったこれだけですが、大抵単語を覚えるという作業がどれだけきちんとできているかで結果は変わってきます。

 一番大事なのは、学習を継続すること。これが一番難しいです。

 

子どもこそ、お金について真剣に考えよう

佐藤航陽/著,『お金2.0新しい経済のルールと生き方』,幻冬舎を読みました

 夏休みの読書感想文のためというわけではないのですけど、最近立て続けに本の話ばかりしておりますが、お金の話を子どもにするとなると、なかなか子ども向けの本を選定するのは難しいのではないかと思います。ましてや、小さいお子さんに読み聞かせするとか、相当変わった家庭のような感じもしますので、ある程度お育ちになったお子様といろいろ考えてみて、自由研究のネタにできるような感じのことをかければいいなと思っています。今日は、お金と経済の話です。今回もネタバレです。解釈が間違っていたらごめんなさい。経済の分野にはちょっと疎いのですがこれから真摯に学んでいこうと思っております。

 この本では主に経済が「資本主義」から「価値主義」へと移行しているということについて書かれています。

 では、「価値主義」とは何かというと、クラウドソーシングやブロックチェーン、ビットコインやSNSなどが発達し、お金の流れが「自律分散」し、経済の民主化が起こってお金そのものに価値がなくなり、増やすことの難しい「信頼」「時間」「個性」などの価値が上がっていくという経済構造のことです。わかりやすい例えが書かれていましたが、貯金ゼロでもツイッターのフォロワー100万人の人は資金と知恵を集めるのが容易な世の中ということですね。

 現在、世界経済の上位1%の富裕層が世界全体の富の48%を所有していて、「上位80人」と「下位35億人」の所得がほぼ同じで世界に流通する9割は消費経済より資産経済で生まれているので、お金の価値が下がると言われてもピンと来ませんが、これから労働が機械に置き換わっていき、ベーシックインカムが普及すると、働き方も収益構造も今とはまったく変わってしまいます。そうなると、わりと近い将来そうなってもおかしくはないですね。

 資本主義経済では、取引を繰り返していくうちに格差が生まれていくのは当たり前のことで、お金を生み出すこと、手段が目的化してしまったためにお金にならないものがまるで無価値のように評価されています。筆者は、経済システムにも寿命があり、資本主義の限界をむかえているとの見方です。

 マルクスの社会主義は、お金の新陳代謝を悪くするという自然の構造からかけはなれた仕組みだったために崩壊したという見方もなるほど納得がいきます。しかし、完璧な経済システムなどなく、評価経済の落とし穴は、「注目されること」により価値をおき(炎上商法みたいなものがその例ですね)そのものの価値を下げているという欠点にも触れています。

 では、これからはどのような生き方を選ぶべきかというと、1日中やっても苦痛でないことを探すことだといいます。格差を固定化せずにどうすれば社会が活気を持てるかを考えることが重要だと筆者はいいます。格差が悪いと言って、悪者叩きをして憂さ晴らしをしても変わらないのだから。

 得意なことを伸ばして努力するとそれが収益化と幸福につながるなら、決して悪い未来ではないということなのでしょう。少なくとも、人生は運ゲーじゃないから。努力せいってことかな。

 

夏休みは洋書に挑戦してみよう

なるべく薄くて面白いものを!

 本日は、夏休みということもあって、洋書の児童書を読むことをおすすめしてみようと思います。

 まずは児童書の夏休みあるある。たいてい、洋書で夏休みネタの児童書といえば、内向的でひょろひょろした軟弱で臆病なのび太くんが主人公になっています。多くのパターンとして、男の子は気がのらないにもかかわらず、親に連れていかれるとか無理矢理キャンプとかに参加させられる流れになるのです。そして、事件は起こります。いえ、大した事件じゃないんですけども。そこで第一の殺人などは起きません。謎も解きません。プチ遭難レベルのちょっとした事件が起こってそれを少年は克服する、と。そして、その経験を通して少年は大人になっていく。めでたし、めでたし。そういうのは日本の夏休みの児童書ではあまりないような気がしますね。日本ののび太は夏休みも通常運転でしょうかね。

 速読速聴をする必要はまったくないと思いますし、辞書なしである程度読めるレベルのものを読むのがいいと思います。まずは、数時間で読めるような本から。何日にもまたがって読んでしまうと確実に挫折すると思います。すぐ読める本はもったいないと思われるかもしれませんが、数人で一冊ずつを貸し借りしたらいいですよ。それに、今は僕らのAmazonが1円から中古を販売しているじゃないですか(送料はかかりますが)。また、古本を探すもいいと思います。なるべく挫折のない薄くて易しい本を読み続けるのです。

 私のおすすめは、子供の頃よく読んでいたジャンルの児童書です。昔書店で見かけたoxford bookwormsは、学習者向けで易しい本ではあったのですけど、値段が高すぎます。しかも内容が絶妙な感じの面白くなさ(たまに面白いのもあります)。しかし、まったく子供向けの本を読むのも苦痛ですよね。読めたらヤングアダルトぐらいで。

 子供の頃好んで読んでいたジャンルというのは、「ああ、懐かしいなぁ」って思いながら読めると思います。フィクションが苦手なら、子供向けのサイエンスやヒストリー系の本をおすすめします。でも、ネイティヴ向けは表現が難しいです。ネイティヴ向けのジョークやダジャレが出てきたりして(それをrhyme「押韻」というのですけど)どこで笑っていいのかわからない状態に陥るかもしれません。この「韻を踏む」というのは、慣れないといけないです。ロアルドダールも、ハリーポッターも、詩のようなものが出てきますよね。韻を踏んでましたよね。あれです。

 まとまった休みに、無理せず少しずつ。女子生徒向けなら、ジャクリーン・ウィルソンの本なんかが、とても読みやすくて丁度いい長さだと思います。男の子向けは、やはりロアルド・ダールとかデヴィッド・ウォリアムスなんかがいいかなと思います。ちょっとだけ中高生には難しいです。このデヴィッド・ウォリアムスさんはイギリスの有名なコメディアンでもあるんですよ。日本でも有名なダレン・シャンも1巻が面白いしわかりやすいです。

 読書の夏!洋書の夏!

 

うれしいから笑い、悲しいから泣くのは「錯覚」!

文春Special2017夏 橘玲特別監修『もっと言ってはいけない 脳と心の正体』を読みました

 kindle本ですが、かなり読み応えのある本でした。

 『もっと言ってはいけない 脳と心の正体』は、橘玲さんの監修になっていますが、多くの著名人の多くの視点で脳と心について書かれています。わたしたちヒトをデザインしたものを昔、神と呼んでいましたが、ダーウィン以降それは「進化」と呼ばれるようになりました。この本では、幸福になるために進化がどのように脳を設計したかを知り、幸福への鍵に迫るという橘玲氏の新幸福論から始まります。

 人はうれしいから笑い、悲しいから泣くというのは「錯覚」で、人は「笑うから」うれしく、「涙を流しているのに気づいたから」悲しい。「わたし」の実体は「無意識」であるということについても詳しく書かれています。驚いたことに、「無意識は、意識(理性)をはるかに超える高い知能を持っている」と。たとえば、子供が言語を習得するときなども、文法を教わったわけでもないのに、自然に習得することなんかもですね。

 幸福は遺伝するというのは、何となくそんな気はしていました。「生まれつき幸福なひとはずっと幸福で、不幸なひとはいつも不幸」ですって。残念です(笑)。それは、セロトニン濃度が高い人が幸福感が高いという遺伝的要因は変えられないからといわれれば納得です。もともと脳内セロトニン濃度の低い日本人ですが、この「不幸の遺伝子」は「成功の遺伝子」でもあるとも述べられています。幸福で満ち足りてると、現状を変える必要ないですからね。よくも悪くも、ひとは幸福にも不幸にも慣れてしまうものだから。「美しさと幸福はたいして関係がない」ということも頷けます。整形などをしても、すぐにその状態に「順応」してしまうからですね。しかし、「不幸にならない生き方」は、「不幸にならないために幸福をあきらめる」という戦略(笑)。うーーむ。確かに、ストレスは減りそうですけど、それはどうなんでしょう。そこだけは、納得いかないなあ。仏教僧は不幸ではなさそうだけど、これから仏教僧のような生き方が流行るんでしょうか。でも、昨今の瞑想ブームも、幸福と関係があるのかも知れませんね。

 幸せになるために、自分の本体は無意識であると認識した方がいいのですって。無意識って自覚しないから無意識なんじゃないのかと思うでしょう?しかし、鍛える方法があるのです。スポーツ選手や棋士が行なっているような同じ課題の反復練習をすること、ですって。要するに、「勘」のようなものを鍛えていくんですよね。これは、池谷裕二先生の章ででてきます。池谷先生の話で、脳は何のためにあるのかという話も面白かったのですが「エントロピー増大を速めるため」という壮大な話に、私は置いてけぼりになってしまいました。

 とにかく、この本はかなりボリュームがあって、この他にもいろいろ興味深いことが書かれています。監修の橘玲さんや池谷先生の話がとても印象に残ったので、若干ネタバレなんですけど、ここに書いてみました。

 

【検証】イギリス料理は本当にまずいのか

そもそもイギリス料理自体、ピンときません

 本日はイギリス料理のお話。私はイギリスに9ヶ月ほど滞在しました。結論からいうと、イギリスにも美味しいものはあります。フィッシュ&チップスだけじゃありません。しかし、これだけ世界中のものが手に入るので、どれもこれも既視感があります。

 私のお気に入りは、刻んだりんごが入ったソーセージですね。イタリアのソーセージも肉肉しくて美味しかったのですが、イギリスのものもなかなかです。とてもジューシーでとても太ります。ソーセージにマッシュポテトを乗せて食べるのがこれまた美味しい。ピタブレッドもそうです。とても高カロリー。間違いなく太る食事です。それに、イングリッシュ・マフィンなどのスイーツ。美味しいけど、あれは罠です。買ってはいけない。とまらなくなりますね。

 それから、ヨークシャー・プディングというシュークリームの皮だけみたいなものに調理途中っぽい味のグレイビーソースという、うすいソースをかけて食べるのもまたイギリスっぽくてよかったです。私はどちらかというと、グレイビーソースよりケチャップをかけて食べる派でした。ライスは残念ながらあまり食べませんでした。ただ、私は日本人なので、調味料さえあれば和食とか中華を作ってましたから米を食べていた方でしたけど。でも、普通にリゾット用やカレー用のライス、小粒の日本米に近い、パサパサの米はどこででも手に入りました。それから、クスクスという小粒の穀物も食べていました。

 何度か佐賀県のご当地グルメ、シシリアンライスを作っておもてなししたら、あれはトマトと焼肉とマヨネーズとレタスの絶妙なバランスがイギリスの人々にも大好評でしたね。

 現地では、中華料理はたいていテイクアウェイで、レストランは田舎ではほとんど見かけませんでした。焼きそばのようなものとまだ他に何か買おうとしていたら、「イングランドの中華はだいたい同じ味だから1つ買ったら十分」と連れに言われて買うのをよしました。レタスのあんかけを作ったりしていたのでわざわざ買って食べなくてもあんかけの方が美味しいし安上がりですし。

 カレーライスは、やはり本場のインドカレーが主流で、インドカレーの瓶詰めのカレーソースがよく売ってましたし、美味しかったのでよく買ってました。日本のカレーに近いのはスーパーのお惣菜屋さんで、チャイニーズカレーとして売られているのを見ました。あれは量り売りだったかな。カレーはまずくしようがないですよね。あたりハズレがないというか、よく考えるとさっきからイギリス料理の話全然してないな。

 そして、野菜炒め(stir fry)は、よく食べていました。ソースがよく売ってあるのを見かけたので、わりと向こうでは食べられていたのではないでしょうか。しかし、イングランドの料理というよりどうみても中華のソースだったんですけど。

 イングランドの主食は、芋です。じゃがいも。彼らは、potatoのことをspud(スパッド)とも呼びます。毎日じゃがいも。いい加減飽きます。さすがに毎日はつらいものがあります。朝はシリアルだったのですが、他のご家庭でもそうなのかはわかりません。私は牛乳を飲むとお腹をこわすので、English Breakfastやサラダを食べていました。English Breakfastは、ソーセージ、ハム、きのこをフライパンで焼いたもの、目玉焼き、煮豆などをワンプレートに盛り付けて食べるんです。全体的に茶色で朝からこってりしているということを除けば普通に美味しくて栄養のある食べ物でしたね。

 パンは昼食です。サンドウィッチをよく食べました。日本ではサンドイッチ状に挟むことを「サンドする」と言いますけど、当然あれは和製英語です。”What would you like to sand?” なんて聞いちゃってキョトンとされたので、「おお、これは発音か?あたくしの発音が通じないのか」んじゃ、ゼスチャー付きで「サンド!サァーンド!セァ~ンドゥッ!!!」って言い直すと、イギリス人は大声で笑いながら”Which WICH would you like to SAND?(どのウィッチをサンドするんだい?)”とジョークを返してくれました。

 今にして思えば確かにイギリスの郷土料理っぽいカセロール(ビーフシチューっぽい鍋)とかキドニーパイとか、美味しいものを食べたのですけど、どうも既視感があるのですよ。これ、郷土料理なのやろうか?みたいな。だらだら書いたわりに、イギリスの料理のことをあまり言ってない気がするのですが、まとめますとイギリスの料理はそんなに言うほどまずくはないです。

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小学生にプラトン

かつて、読書感想文のお題に何気なく「プラトンとか読んじゃえば?」などと言ってポカンとされた話

 以前、個別指導塾で大抵高校生ぐらいの生徒さんと普通に大人が話すような会話をして英文法を説明したりしていた私ですが、春休みの生徒の入れ替わりの時期には、小学生を受け持つことがありました。読書感想文の宿題が残っているといわれたので、プラトンをお勧めしてなんだかポカンとされてしまった私のプレゼン能力の低さ。今回はこれを読んでくださっている方に、プラトンの本を読んでいただければと思ってこれを書いています。

 「プラトンなんか、読む気にならない」と大人でも思う人は多いのではないでしょうか。私もその一人で、かつてプラトンなど一生読むことはないと思っておりました。当然、プラトンが何を書いたかなんて全然興味がなかったですし、ソクラテスの弟子でしょうぐらいな知識しかありませんでした。ソクラテスなんて、あんなに有名なのに著作はひとつもなく、なぜ死ななければならなかったのかもよくわからず、ただ「無知の知」という言葉だけを世界史の教科書で覚えたという記憶しかありませんでした。しかし、これが読んでみると面白いんですよ。本を一冊も書かずにあんなに有名。じつは、プラトンがソクラテスのことを書いていたのです。対話篇といって、やや乱暴な言い方で説明すると、ソクラテスがいろんな人に議論をふっかけて論破するという(厳密に言えば、相手の意見のほころびを見つけて「行き詰まり(アポリア)」へと導く。忙しい現代人なら「代案出してから言ってください」と言うようなオチ)大変厄介な“哲学当たり屋おじさん”の話です。「そんなことしてるから殺されるんだよ」と思われるでしょうが、服毒で自ら命を絶ったとなっています。

 プラトンの有名な作品には『国家』というものがあり、これは「『正義』とは何か」がテーマとなっています。そして、『メノン』や『プロタゴラス』は「『徳(アレテー)』は教えられるか」ということがテーマになっています。

 プラトンを読むと「『善いこと』とは何か」という考えにいたります。「正義」もそうですし、「徳」もそうです。ちなみに「徳」というのは、一般的にいわれている「道徳」ではなく、人間の能力や技術のことを指すのですね。

 例えば、『メノン』で議論される『徳』は教えられるかという議論では、『徳』とは何か『徳』の本質について尋ねます。結局「善いもの」には違いないのだけど、実際のところよくわからない。よくわからないものを教えることができるのかという議論になります。ソクラテスの使えるフレーズ「わたしはひどく無知で、徳そのものがおよそいったい何であるかということさえ知らない」と。

 そこで、我々はメノンと一緒に『徳』とは何か、を考えるのです。で、結局『徳』は教えられるのか?という問いに対する結論は。

 「わたしはひどく無知で…」

  はい、死刑!

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