合格者の行動から学ぶべきこと

 合格者の性格はさまざまですが、行動はかなり似ている部分があります。それは、アスリートのように量をこなしていることです。そして、感情に振り回されないでひたむきに学習しています。学習習慣があり、あまり勉強が苦にならない。計画性があり、目標も明確です。我々は彼らに学び、「できる人」になるべきだと思います。まだ社会にでるまでは、楽しく過ごしたいという気持ちも理解できますが、大人になった人間から見れば、「ある程度勉強しておかないと人生はかなり早期に決着がついてしまう可能性が高い」と、若者にご忠告申し上げたいのです。それを聞くと、「冴えない人生を送っている大人の愚痴」とか「マウントとりたがり老害の単なる説教」にしか聞こえないかもしれないのですが。あえて言いますと、「若いうちに学ぶべき」であり「若いうちに打ち込めるものを見つけるべき」です。部活が将来必要なら一所懸命やるべき。でも、部活を理由に勉強しないのなら部活はやめるべき。部活でしか学べないことがチームワークだというのなら、それは社会に出ても十分学ぶことができるといいたいです。

とにかく量をこなす

 長時間机に向かっていても疲れないために体力が必要であるのは間違いありません。そして、それを才能と言ってしまえばある意味それも一つの才能であると言えなくもないですが、大抵、その我慢強さは鍛えて伸ばせるものであると思います。我慢強さは必要です。有名な心理学の実験で「マシュマロテスト」というのがありますが、慣れるまでひたすら我慢することです。もし、結果に結びつかなくても、「我慢強さ」は将来大きな財産になるからです。物事がうまくいくためには継続していかなければならないからです。結果を出すためには、続けていくことです。いつまで続ければいいかというと、結果を出すまでです。できる人は、「これとこれ、どっちをやりますか?」と聞くと「両方やります」と言いますね。貪欲です。とにかく時間を作って確実にやってくる。頭が下がります。自分には時間がないし、彼らはきっと頭がいいからそんなにできるんだと思われるかもしれませんが、私が見た限り理解力などにできる人とそうでない人の差はそんなに大きな開きがないのですが、学習量の差はそれにかけている時間に違いがあることに気づきました。強いて言えば体力に若干の差があるのかもしれませんが。余程天才でもない限り、その差は埋められません。凡人は黙って勉強した方がいいです。

感情に振り回されない

 辛いことがあっても、切り替えて何かに打ち込めるというのは強みです。あの人は切り替えが早いと思う人が成果を出せます。そういう点で、「ちょっと鈍い人」ぐらいの方が動揺せずずっと同じ作業や学習に集中して取り組めます。彼らにも、彼らなりに動揺したり悲しんだりということがあるのかもしれませんが、何があっても集中力が高いです。一度、泣きはらした顔で授業に来ていた生徒さんがいらっしゃいましたが、何か辛いことがあった日でも一度机に向かえば集中できるメンタルの強さに驚きました。しかし、心配事があって眠れなかったという人もいます。そういいながら授業中に寝るのは辻褄が合わない。なぜだ。なぜ、寝るのだ。意味がわからない。夜に寝てください。

計画的かつ目標が明確

 将来の夢が特になくてもいいと思いますが、将来なりたい職業に資格が必要であったりなんらかのスキルが必要である場合、早く決めておかなければつけない職業もあります。できる人は早い段階で「やりたい仕事」を決めていることが多く、その仕事につくまでにすべきことを逆算して計画的に学習を進めています。やりたい仕事のために行くべき大学を決め、行くべき大学に合格するために自分が今何をすべきかが明確なのです。

取れるテストで確実に満点を取る

 小テストを甘く見てはいけません。彼らは、小テストなどの範囲が決められているものは確実に満点を狙ってきます。単語テストなども、8割取ることを目標のようにしていると、大抵残りの2割覚えていないところが溜まっていきます。定期テストなどで問われるのは間違いやすいところなので、知らないところから出てしまうことが多いのではないでしょうか。入試本番で合格点の8割しか取れないということがないためにも、8割で満足する習慣をつけない方がいいと思います。

まとめ

 できる人は、勉強した人です。勉強ができなくても他のことに打ち込めるならそれをやればいいと思います。他のこととは「一日中やっても苦にならないこと」です。それを一日中やったらいいと思います。その道で一番になれる可能性が高いからです。プロ野球選手など、やっている人の人口に対して限られた人数しかプロになれない場合を除き、大抵の場合は一日中やって何十年も続けられたらプロになれます。10000時間の法則といわれますが、それぐらいで専門家になれるということなのです。勉強ができる人は、ずっとやり続けられることが勉強であって、それをやっているからできるのです。

 

イディオムと構文はどうやって学ぶ?

イディオムは英語がセンターのみならそこまでやる必要はない

 当然、イディオムも学習すべきです。しかし、単語もかなりあやしいならイディオムは捨ててもとりあえずセンターで大コケすることはないでしょう。特に、「スクランブル」や「ネクストステージ」等の問題集にはイディオムも入っています。1冊こなせば、特別に英熟語帳を買う必要はありません。難関大学を目指す生徒で、まだ時間的に余裕があるなら熟語帳を購入するのもいいかも知れません。しかし、熟語帳を買わなくても難関大学に合格した人はかなりいます。覚えなかったのではなく、手持ちの問題集に載っているものを覚えたらそれで十分だったということです。「ネクストステージ」等の問題集でどの程度収録されている語数が「熟語帳」と被っているのかを調べたことがないので、いずれ調べてみてみなさんにご報告しようと思います。「熟語帳」のレイアウトも好みがありますので、一番覚えられそうなものを手に取ってから購入してください。それから、熟語や慣用表現はでてきたときにその都度覚えるようにしたほうがいいです。何が熟語を覚えにくくしているかというと、「似た表現がたくさんある」ということが挙げられます。問題集形式になっていると似た表現の中から四択で選ぶものなどもあるので、チェックするには問題集で確認しながら覚えるのもいいと思います。例えば、

keep up with ~ 「~に遅れずについていく」

catch up with~ 「~に追いつく」

come up with~ 「~を思いつく」

put up with~  「~を我慢する」

はよく似ていますが、まず上の二つは離れて歩いている人の間隔を「キープしている」イメージと「キャッチして(捉えて)いる」イメージを頭の中に浮かべるといいと思います。間隔をキープできるということは遅れずについていっているイメージです。それから、前の人を捉えてしまったイメージは、追いついたイメージですね。「カムアップ」は何か名案が「浮かび上がってくる」イメージなので「思いつく」の意味です。「プットアップ」は、イメージしにくいですよね。そこで、オンラインの語源辞典https://www.etymonline.com のput の項目によると、ポケットにしまい込むというところから「感情をポケットにしまい込む」イメージで「我慢する」というイディオムになっているように書かれています。語源から覚えると忘れないですね。ただ腕力で覚えるのは難しく、忘れてしまいがちなので、工夫してイメージしながら覚えましょう。そうは言っても、なかなかそんな時間は取れないと思います。しかし、与えられた時間を有効に使ってなんとか覚えてくださいませ。覚えるプロセスは、この際どうでもいい。とにかく覚えた者勝ちです。←結局そうなる


スクランブル英文法・語法 4th Edition


Next Stage英文法・語法問題―入試英語頻出ポイント218の征服

構文のお勧めテキスト

 構文は、文法ですでに学んだよく使う表現の類をまとめたものなのですけど、これはよく使う表現でなおかつ読みにくいパターンのものです。よく、長文中で下線部和訳になっている難解な文章に含まれていたりします。短いものを集めた構文集を学校から配られたり、これも「ネクストステージ」のような問題集にまとめた項目がありますが、実践的に、和訳の訓練をするなら、「入門英文解釈の技術70」「基礎英文解釈の技術100」「英文解釈の技術100」「ポレポレ英文読解プロセス50」「英文読解の透視図」などがあります。昔からある「英文解釈教室」のシリーズもありますが、後発のものがとっつきやすいので、レベルにあったものをやってみてください。この中では「基礎英文解釈の技術100」と「ポレポレ」が標準より少しレベル高めで解きやすくお勧めです。構文の和訳は、精読の訓練になります。これらのテキストをきちんとやっておくと、記述に強くなるはずです。何がいいかって、これらをやると難解な和訳も楽しくなってくることです。難しすぎると感じたら、単語と文法をもう一度見直してレベルにあったものを解いていくといいですよ。おすすめです。


入門英文解釈の技術70 (大学受験スーパーゼミ徹底攻略)


基礎英文解釈の技術100 (大学受験スーパーゼミ徹底攻略)


英文解釈の技術100 (大学受験スーパーゼミ徹底攻略)


ポレポレ英文読解プロセス50―代々木ゼミ方式


英文読解の透視図

高校英語を市販テキストで学習するには

1冊を使いこなせ!

市販テキストを使いこなせれば塾はいらない

塾に通っている人も、通っていない人もいらっしゃると思います。通っても通わなくてもきちんと学習すれば問題ないわけで、塾と家庭学習の差はほとんどありません。強いて言えば、塾用テキストは塾に通わなければ自由に買うことができないことぐらいでしょうか。しかし、最近、塾用テキストはどこからでも入手できるようになっていますから、ほぼ差はないと言っていいでしょう。では、市販テキストをどの順番で学習していくのかをみていきましょう。

何度も言うけど、まずは単語だ

「また言うか」などと言ってはいかんです。何度でもいいます。最初に単語を覚えるのです。お勧めの単語帳は、『ターゲット1900』『システム英単語』『leap』『鉄壁』などですが、その中で好きなものを選ぶというのがいいと思います。単語帳は是非手に取ってみてみることですね。この中のものより、もっと相性がいい単語帳があればそれを使うといいと思います。「使い込んだら結局どれでもいい」のです。

 その後、1冊終えたら、『鉄壁』は一冊でもいいという人もいますし、ちょっと使い方が違いますので、それは置いておいて、難関大学を受ける生徒さんはさらにもう一冊分野別単語帳の『リンガメタリカ』などをやっておかれるのをお勧めします。英検準1級を受験される場合は『パス単』を覚えるようにした方がいいです。「単語帳は2/3ぐらい覚えればいいでしょう」と言っている人をよく見かけますが、それは受験する大学の難易度にもよりますし、その人の読解力にもよります。国語力が高くて論理的思考ができる人ならある程度の未知語をカバーして読めると思います。ただ楽をしたいだけなら、一語でも多く覚えた方がいいと思いますよ。

単語を覚えるのと並行して学習する文法問題集

 当然、文法書は持っていることが前提なのですが、大抵学校で渡されますのでそれを使いましょう。インプットのないところにアウトプットはありません。時間の無駄。まずは、単元別にインプットをして、アウトプットしながら進みましょう。文法問題集は、

「スクランブル」

「パワーステージ」

「アップグレード」

「ヴィンテージ」

「全解説頻出英文法・語法問題1000」

「即戦ゼミ3(いわゆる英頻というやつですね)」

など、学校では2年生から使い始めるところが多いですが、1年生でも使っていきましょう。1冊あれば十分です。というより、あれこれ手を出してどれもやらないのが一番いけない。テキストのコレクターにならないで。それから、即戦ゼミは単元別ではないですし、レベルも高いので、学年が上がってから使った方がいいと思います。

長文問題集

 レベル別になっているもの、文構造がわかるもの、CDが付いているものがお勧めです。シリーズ別になっていて

「英語長文ハイパートレーニング」

「レベル別問題集英語長文」

「イチから鍛える英語長文」

「英語長文ポラリス」

「やっておきたい英語長文」これはCDがついていませんが良書

などがあります。他にも、ありますが代表的なものを挙げてみました。

 構文は、文法問題集の中に重要構文を集めた項目があるので、あまり難易度の高い和訳を二次試験で要求されなければ、あえて手を出さないという手もあります。明日は、構文とイディオムについてです。

 わかっているとは思うけど、ここに挙げているものを全部買うことはお勧めしません。まずは、単語帳を一冊と文法問題集を一冊、完璧になるまで何度も繰り返しましょう。しつこいようですが、単語を覚えましょう。

 

イケメンとフツメンの境目をセンター英語8割に設定してみる

 私のまったくの個人的意見です。センターでとりあえず8割取れる生徒は、どんな外見でもイケメンに見えてくるものです。8割取れると「合格が近づいた」と思うからかも知れません。センターマークの問題集を高3で始める人はだいたい夏休みあたりからではないでしょうか。もともと英語が得意な人たちはセンター対策をしないことが多いです。しかし、部活などであまり学習に本腰を入れてこなかった生徒にとって、意外に悩みのタネになっているのがセンター英語ではないでしょうか。まだ夏休みですし、時間はありますのでこれからでも間に合います。8割を超えると周りの評価も変わってきますし、合格可能性のある大学も増えます。私大のセンター利用や併用でも活かせます。なんといっても、カッコいいです。素敵です。自信を持っていいです。では、具体的な学習方法について書いていきます。

当たり前だけど単語を覚えること

 大問3から読解問題になります。読解問題が全体の約7割の点数を占めるのでまずすべきことは単語の暗記です。単語をほとんど知らない文章を無理矢理読もうとしても読めませんので時間はかかりますが最初に単語を覚えてから読解に取り組むのが大事です。単語を覚えずに読解問題をやると、読むたびに辞書を引かないといけないので非効率だからです。暗記が苦手でも繰り返し覚えるようにしていきます。繰り返しても覚えられない人は、繰り返した回数が概して少ないです。基礎が出来上がるまでは大問3から解いて大問1、2に戻ることをお勧めします。発音アクセントと文法問題は得意な人は頭から解いて行ってもいいと思いますが、時間をかければ解けるというレベルであれば、後まわしにすべきです。配点の高い大問6までまわらない可能性があるからです。

 英語が苦手という人はよく「何からやっていいかわからない」といいます。だから、単語の暗記をというのですが、「それは嫌」という答えが返ってきます。でも、それで合格できるほど、大学受験は甘くないです。

大問3の要約問題を最初にやっつける!最初は時間無制限で全部解く

 大問3の要約問題は、読解問題の基本なのでその問題が解けるようになるといいと思います。要約問題は、大問6とやることが同じだから。それができると大問6が解けます。大問6が解けるようになるともっと短くて易しい大問5も比較的簡単に解けるようになります。大問3の要約問題を最初は全問正解するつもりで意識して解きましょう。しかし、センター英語の問題は解きなれないと量が多くて圧倒されるかも知れませんが、黒本などを1冊解き終わる頃には慣れてきます。時間は無制限でいいのでなるべく1回分を最後まで解き切るのがいいと思います。少しずつ点数が上がると気分も上がるはずですから、頑張りましょう。

時間が足りるようになるまで、禁じ手の「塗り絵」戦略を…

 先ほど、時間が足りなくなるかも知れないので慣れるまでは大問3から解くと申し上げました。しかし、そうすると文法問題を解く時間が足りなくなる可能性が当然出てくるわけです。自分で練習問題を解く間は時間無制限で丁寧に解いて復習をすることが重要なのですが、模試で時間が足りなかった場合どうするかというと、大問3から解いて文法問題に割く時間が極端に少ないときは、四択問題はあらかじめ同じ番号を塗っておき、解きながら塗り替えていくようにします。こうすれば塗り残しはとりあえずなくなります。まったく時間がなくても確率的には4分の1で2問4点分ぐらいの正解にはなるはずです。そうやって、1点でも点を取っていくという姿勢は大事だと思います。もちろん、センター本番ではちゃんと解き切るように計画的に学習しないといけませんけど。最終的に苦戦するのは文法の中では、語句整序、読解の中では大問4という人が多いです。大問4は、出てくる単語が難しい場合が多いからだと思います。文法問題の中で配点の高い整序問題が苦手なら、河合の語句整序問題集が出ていますが基礎問題集と書いてあるわりに結構しんどい内容ですので、冬休みあたりに集中的にやってみるといいです。以上、英語が苦手な人向けのセンター対策の手順でした。

 

ペットボトルの水が意外に怪しい件『英検1級長文読解問題120』より

比較するとかなり高かったボトル入りのお水

 Chapter1-Dの問題です。…., and it costs anywhere from 250 to 10,000times the cost of tap water.とあります。今まであまり考えずに「とりあえず、炭酸水」と、水を飲んでいた私は水道水の250倍から1万倍もするお金を払って飲んでいたと思うともったいない気がします。佐賀市水道局の水は、基本料金が10立方メートル(10,000L)まで2,484円。つまり500mlで約0.25円となります。ということは、1本75円のペットボトルの水は水道水の300倍。自販機の1本120円の水だと480倍払うことになります。ボトルの代金は含みませんが、それでも高すぎます。そう考えると、普通の清涼飲料水なんかも原価は安いといいますから割高には違いありません。

ペットボトルの水の方がおいしいという誤解

 それでも、ペットボトルの水の方が美味しいから仕方ないと思ってしまっていましたが、じつはTaste tests reveal that the vast majority of us, even the most trained of us, can’t tell bottled from tap, and much bottled water is derived from municipal supplies in any case.と書いてあります。「訓練された人でも味の違いが見分けられないし、多くのボトルの水が水道水由来である」と。つまり、味の違いがわからないどころか、「出どころが一緒だった」ということですね。それを読むと、いやもういっそ水道水でいいや、となりますね。イギリスでペットボトルの水を買おうとしていて「イギリスでは水道水が飲めるよ。日本では飲めないの?」と聞かれたことがありました。確かにその通りですね。私も小さい頃は当たり前のように水道水を飲んでいました。学校で水筒のお茶がなくなったら水飲み場の水を飲むのが当たり前でしたし。今は、どうなんでしょう。

しかし、ボトルのお水の方がより衛生的な気がしませんか?

 根拠はないのですが、なんとなくボトル入りの水の方がより衛生的な気がするのです。もちろん、気のせいですけど。料理の水も水道水を使っていますし、米を研ぐにも水道水です。しかし、なぜでしょう飲み水になると水道水を冷やして飲む気にはなりません。残念ながら、ここにこうありました。”a quarter bottled water has significantly higher bacteria levels than tap water” ボトルの水の1/4は水道水よりも著しく高いバクテリアの水準であった、と。そうです。思い出しました。10年ほど前に、ある有名なペットボトルの水が「カビ混入」で回収になっていましたね。それで、余談ではありますが清涼飲料水も同じなのかと疑問に思ったので調べましたところ、リコールプラスというサイトにその他の回収情報がいろいろ載っていました。清涼飲料水のみならず、カビ混入は他にもありました。

 とはいえ「それでも私は炭酸水が飲みたい」という結論です。

 「大丈夫。死にはしない」

 

文学作品をまとめた漫画のこと。レビュー

ドリヤス工場/著『有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。』 (トーチコミックス)は、好き嫌いが分かれると思う作品

 私は、「ちょっとこれは強引すぎやしませんか?(笑)」と思いました。「短編集の中の1作品を1文でまとめます」ぐらい、10ページぐらいでまとめるってそんな感じです。例えるなら、レイモンド・カーヴァーの『大聖堂』は「妻の友達のいけすかない盲人がうちに来たのだけど、妻が寝てしまっている間に一緒に絵を描いたら夢中になっていた」というのと同じぐらい強引。やれやれ(村上春樹訳だけに)。

文体とかはあまり考えないにしても、全部を説明しきれませんし、読んだことがない人なら作品を誤解しそうだと思います。 

まんがで読破シリーズはわりと好き

 まんがで読破ぐらい長くないと、伝わらないと思うのですが、このシリーズでさえ作品のクオリティーにばらつきがあります。しかし私はわりと好きです。まんがで読破で読んでみて面白いと思ったら元の作品を読んでみたいと思う作品がいくつかありました。マルクスの『資本論』などは、きっと経済に詳しい人が読んだら「たった2冊の漫画で資本論は書けない」とおっしゃるでしょうけど、私は漫画にでもなっていなければこれは読まなかったなと思いましたのでよかったです。シェイクスピアなどは、元が短いのでまんがになっていても違和感なく読めました。 シェイクスピアも「漫画では伝えきれない」とか「原書じゃないとあの言葉遊びの面白さは理解できん」とか、あると思いますが、これぐらいの長さがあれば十分伝えるべきことは伝わるんじゃないかと思います。

『あさきゆめみし』を忘れてはいけない

 本格的に文学を漫画にしたというのは、この『あさきゆめみし』あたりが元祖なのではないかと思うほど、かなり古く、素晴らしい作品。美しい絵。鼻持ちならない光源氏。愛すべき末摘花。この本を読んで『源氏物語』が好きになった人と大嫌いになった人がいるのではないでしょうか。私は大嫌いになりました。それほど、登場人物が生き生きと描かれていてわかりやすい。美しいものは美しい。そして、憎らしいものは憎らしい。しかし長編漫画ぐらいの長さなので、まとめ系漫画ではないですね。

『マンガ日本の古典』(中公文庫)を読んでみたい

 これは、とても気になります。描いている漫画家が昭和の一斉を風靡した方々。それに、有名な本ばかりですし、学校で読まされたものもあります。懐かしいし、今読むには面倒くさい。家に日本古典文学大系があるのですが、さすがに今更全部読む気にはなりません。全訳が載っていないというのも、とても読みにくいです。これを全巻読んだら、また読んでみたいなんて思うかも知れません。しかし、全巻揃えるとわりとお金はかかりますね。みなさんは、漫画で文学を読む派でしょうか。

 

「量から質」という考え方

齋藤孝/著『原稿用紙十枚を書く力』を読みました

 「書く力がない人は、たいてい読む力もない」とありますが、原稿用紙10枚をすらすら書けるようになるにはかなりの訓練が必要だと思います。この本の中で「書く力」は「考える力」と書かれています。私がブログを書き始めた理由の一つは、「考える力を養いたいから」というのもあります。それゆえ、以前購入していたこの本を引っ張り出してもう一度読んでみる気になりました。この本は「書く力」だけでなく、さまざまなことに共通する「うまくこなしてものにする」エッセンスがつまっています。なぜなら、「書く力」も他の物事と同様、量をこなして伸ばしていく能力だからです。

 齋藤孝先生の本は以前数冊読んだことがありました。テレビや雑誌などでお見かけするいつも柔らかい優しい笑顔であふれる齋藤孝先生とは裏腹に、先生の著書の内容は意外にダイレクトで辛辣です。

「書くことはスポーツ」

 つまり、質より圧倒的な量をこなすこと。量をこなして質を上げていくという考え方ですね。これは、スポーツ以外の何にでも当てはまることです。学習もそうですし、何か上達したいなら1万時間やるべきとマルコム・グラッドウェルも著書『天才!成功する人々の法則』の中で述べています。いきなり10枚書くというのができなくても、毎日目標を決めて書き続けるということが推奨されています。

「引用力」

 「引用力」を上げるには、書くという前提で読み、最後まで読む必要もないのだと書かれています。そして久しぶりに見た「3色ボールペン」の登場です。懐かしい。昔3色ボールペンの本を出されていましたね。

「赤は重要な部分、青はまあまあ重要な部分、緑は個人的にいいと思った部分」

ロザンの宇治原さんや7回読みの山口真由さんはマーカー否定派ですけど、マーカーを一切引かない読み方というのは、おそらくかなり読み慣れた人に適しているのだと思います。さらに、音読によって文章の生命力がわかると書かれています。ご自身の著書を彷彿とさせる「声に出して読むこと」。こうして読んでいくと、どの著書にも根底に流れる内容に一貫性があり、主張が繋がってきますね。

「3つのキーコンセプトをつなぐ」

 原稿用紙2、3枚ならレジュメの作成など準備はいりませんが、10枚以上となるとレジュメを作って構成をしっかり組み立てていかなければなりません。「出来るだけ離れて重ならない3つのキーコンセプトをどうつないでいくかで、その人の能力が決まる」「その3つをつなぐラインが脳みそをつなぐラインであり、その人の個性である」のだと。

 しかし、あとがきで「質は高いけど、短い文章しか書けない人」よりも「量をこなせる人」を評価されているのは、それだけの量をこなし、実際に質の高い文章を書いていらしゃるからこそ、そのように感じていらっしゃるのだと思いました。量をこなして質を上げるということは、思考として健全だと思います。文章を書く人にも、書かない人にもおすすめの本です。

 

生徒のスカイプ英会話を通して気づいたこと

英語になると挨拶が出てこないという謎

 スカイプ英会話を塾で導入している私が、生徒さんを見ていて気になったことを今日は少し書いてみたいと思います。社会人として気になったのは、彼らは「ハロー」と話しかけられてすぐに挨拶をしないことです。これは、会話力の問題なのだろうか、と。それに気づいた私は、「挨拶をしてくださいね」「ハローって言われたら、ハローって言ってね」「先生の名前を挨拶のあとに呼んであげてね」と打ち合わせをしたにも関わらず、「ハロー」の後、挨拶をすぐには返さない。そして挨拶の声がまた小さい。これは、みんなに共通しています。

 慣れと言われれば慣れですが、習慣づけていった方がいいなぁと思いました。社会に出ると、扉が開いたら反射的に挨拶をしろと言う会社もありますし、とにかく挨拶をするのはどの会社も基本です。おそらく彼らも部活の先輩に対しては、気配を感じたら即座に挨拶をするという文化をお持ちなのではないかと思います。しかし、英会話になるととっさに挨拶がでてこない。言語が変わるとルールがリセットされているようです。まだ、塾もスカイプ英会話も始まったばかりなので、もうしばらく様子を見る必要がありますが。大きな声で挨拶を即答できるだけでも、中高生ならおそらく「かなり会話が上手い人」の印象になると思います。ひょっとして、日本語でも中高生は大きな声で挨拶しないんだろうか。その可能性もありますね。学校では、よく英語でプレゼンをする課題が出されているのは知っていますが、プレゼンを学ぶ前に外国人に挨拶をする度胸を学んだ方がいい。

間違ってもいいから即答することを学んだ方がいい。

そして、気遣いを学んだ方がいい。

「外国人に話しかけられて答えられなくて悔しかった」「恥ずかしかった」という話をよく耳にしますが、話しかける側も、ずっと黙っている日本人には、どう話しかけていいのかわからなくなってくるんじゃないかな。

 

選択の本質は捨てるほうにある

長沼毅/著『考えすぎる脳、楽をしたい遺伝子』(クロスメディア・パブリシング)を読みました

 この本は、まえがきにある通り「脳に振り回されずに生きる方法」を科学的に書いた本です。人間の脳は、進化の過程で直立二足歩行をし、進化して知性を発達させて「楽をする」という動物としての体の欲求に背いてしまうというトラブルを抱えています。自分に向かないことをやっているケースと環境に合わないケースというのが、日々疲れている人にみられるということが書かれていました。本書では、そいういったことから解放される方法がいろいろと書かれていて面白くさらっと読めました。

わりと、脳が疲れているのは目の疲れと相関関係があるかもね

 「脳から出ている神経の1/3は目につながっている」というのは、なんだか面白い話でした。目が疲れると、頭が疲れた気がしますね。動物はどちらかというと聴覚や嗅覚が優勢だったりしますもんね。うちの犬は、あまり視覚がすぐれていなくて、特に遠くに投げたおやつなんかは、近くの地面をにおいを嗅いで探し回るんですが、途中で諦めます。明らかに視覚は弱いと思いましたが嗅覚も、ちょっと怪しいです。かわいいから許す。

動物界では無理をしないで死ぬときは死ぬというまっとうな考え方

 つまり、無理をしないで淡々と生きること。辛いときは、ストレスから逃れること。それは大事なことです。つらいことに向き合うにしても、その先にはいいことが待っていると。わかっていても、なかなかそんなに飄々と生きることはできませんが。「勝つまで負ける」とか「負けは負け、失敗は失敗と認めないと、同じことの繰り返しになります」という考え方は共感できます。動物もエサが取れなければ延々と同じ方法をバカみたいに繰り返して決してくじけないというのは、見習うべき。これは人間が忘れがちなことだと思います。

やる理由はある、やらない理由はない

 耳が痛い(笑)。我々はやらない理由をいくつも並べますが、やる理由はひとつ。頑張るためには、周りの人の力を借りることを提案されていました。そして、選択するのは沢山の中からひとつを選ぶということのようですが、選択の本質は捨てることにあるということも述べられています。やってもやらなくても結果的には後悔するのだからやって後悔したほうがいい、と。わりと、社会とか集団については、淡々と「ただ人が集まっているだけの場」と書かれていて、若い頃はその集団に振り回されて一喜一憂することが多かったのですが、確かにその通りだなぁと思います。学校でいじめられている子供なんかも、ただ地域にたまたま住んでいただけの人が集まっているだけだから、合わせる必要もないし、そもそも学校は必要がなければそんなに毎日行かなくてもいいぐらいに思えてきます。

 この本の著者は、脳科学者ではなく生物、生態学者なので、脳科学ではなく動物と人間という視点で書かれています。動物界で、動物ならこのように行動する。人間も、このように生きてはどうかということがいくつも書かれていて、その視点の面白さととにかく一歩引いた冷静な目で人間という動物を語っているところがよかったです。読みやすい。

 

 

脳髄は物を考える処に非ず

英検1級の『文で覚える英単語』を読んで考えたこと

 「脳髄は物を考える処に非ず」というのは、夢野久作の『ドグラ・マグラ』の一節ですが、今日は我々がなぜ脂肪分の多いジャンクフードなどを好んで食べるのかについて書かれたトピックを見て「なるほど」と思ったことをメモしておきます。語学系のテストで、長文がいくつもあるととても面倒だと思うのですが、大学入試の問題や模試の問題などはとてもよく厳選されていて面白い記事の抜粋があります。英検もそうです。『文単』は、単語帳の一種なので、とても短い英文がいくつもあるわけですが、1ページにも満たない短い文の中に、興味深いことも書かれています。ただ、覚えるだけじゃなくて文章が楽しめるのはとてもいいと思います。あまり、文章で単語を覚えるのは効率がいいのかどうかはわかりませんが、たくさんの単語を素早く何度も繰り返して覚えるのと同時に文章でも確認するのは記憶に定着しやすいと思います。このトピックは「環境・食料」カテゴリーの中にありました。

 ここで書かれていたのは、脂肪が多い食べ物の誘惑に屈してしまうのは、我々の体内に「第二の脳」が存在するからということでした。「第二の脳」とはもちろん腸のことです。「腸神経系(Enteric Nervous System)は脳の1/1000の数のニューロンから成っているのに脳とは関係なく強力なメッセージを私たちに送る」「胃腸(gut)は脳のいかなる抑制とも関係なく活動できる」というコロンビア大学のマイケル・ガーション教授の言葉が引用されています。

 悲しいときにやけ食いをするのはよく聞く話ですが、脂肪分を多く含む食事はセロトニンの分泌を促すからで、ようするにそのセロトニンが悲しみを軽減するということなのです。なるほど、ストレスが溜まったときに脂肪の多い食事をとるとストレスが軽減されるということだったのかとちょっと納得してしまいました。

 知らず識らずのうちについ食べすぎてしまって、明日から気をつけようなどと毎日反省するわけですけども、甘いものと脂肪はやめられません。頭ではわかっていても、体内でこういうことが起こっていたから脂肪がやめられなかったんですね。