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若い頃に読んでおきたい日本文学

 若い頃に読むべき本というのは、人生に数回開く本かもしれません。もしかしたら何度か読み返したくなる本が、中高生でもすでに何冊かあるかもしれません。人生に数回開く本は、若い頃に読んで共感し、いつかまたその本を開いた時違った視座からその作品に出会う本ともいえるのではないでしょうか。私が読み返したい日本文学を三つあげるとするなら、村上春樹、福永武彦、三浦綾子です。いずれも、十代の頃に読みました。高校生の頃は芥川も好きでしたし、高橋源一郎は、小説よりもライトな書評が好きで、わりと読みました。しかし、あえて若者におすすめするなら、迷わずこの3人を挙げます。もし、これらの本を読まれたらなぜ若い頃に読んでおきたい作品なのかはわかるんじゃないでしょうか。

村上さんの独特な文体と世界観

 世界的に熱狂的なファンの多い村上春樹の小説は、まだ若い頃は純文学というより中間小説と言われていたと記憶しています。私は初期の作品がとても好きでした。長編もありますが短編もエッセイもとても読みやすく、普段本を読まない人にもおすすめです。『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』という初期の長編小説を私は若い頃夢中で読んだ記憶があります。はじめは、2つの物語が交錯していて場面が行ったり来たりして一体どういうことなんだろうと思うんですけど、終盤になるとそれがつながるんです。終わり方もまたいいんですよ。『ノルウェイの森』もいいけどね。

福永武彦は、池澤夏樹のお父さんですよ

 何、池澤夏樹を知らないですと?今すぐ本屋に行きましょう!そして、池澤夏樹と福永武彦の本を買って来ましょう。どちらの作品も素晴らしいです。当然ですが、親子とはいえ、まったく違うタイプの作風です。福永は『草の花』と『忘却の河』が有名。『愛』とか『孤独』とか、私が語ると軽い感じがしますが、重いテーマを美しく描いた作品です。作品はいずれも短く読みやすいです。『忘却の河』から入って他の作品も読むのがおすすめ。

新潮文庫の100冊というキャンペーン商品に入っていることが多い『塩狩峠』

 『塩狩峠』は、高校の読書会の指定図書だったと思います。これは読んだことがある人多いんじゃないでしょうか。『愛』『信仰』『自己犠牲』の話で、実話に基づいて書かれた小説です。あらすじだけ聞くと、道徳的過ぎて拒絶したくなる話ですけど、三浦綾子は導入から30ページで読者の心をがっちり掴んで離さないんですよ。展開が速いですし、筆力がすごい。あっという間に読み終わります。続きが知りたくて夜更かしして読みました。三浦作品の『氷点』は何度も映像化されています。『泥流地帯』もよかった。

 ちなみに『塩狩峠』というと『トロッコ問題』(ウィキペディアにとびます)を思い出します。2歳児の答え(YouTubeにとびます)がエドワード・ゴーリーのブラックユーモアみたいで、不覚にも笑ってしまいました。みなさんならどうします?

まとめ

 またいつか海外文学なども、ご紹介できればと思います。せっかく秋だし読書をしてみると世界が変わるかもしれませんよ。