ダメ人間によるダメ人間のための本のご紹介

『習慣の力』チャールズ・デュヒッグ/著

 本日は、ダメな習慣から抜け出せない私が自戒の意味も込めて、ここに名著『習慣の力』(原題;The Power of Habit)をご紹介する次第です。学習習慣をつけたいとお考えであれば、きっと心に響く箇所があるはず。月刊ぷらざ7月号でも少し触れていた内容です。そもそもこの本を読もうと思ったきっかけは、原文の抜粋が自治医科大学の過去の入試問題に使用されていたからです。生徒とああだこうだ言いながら読んだ思い出があります。「ああだ、こうだ」の具体的内容自体は失念してしまいましたが、いろいろはっとさせられる内容であったとその時は思いました。

 まず、冒頭から4年間で体重を30キロ絞り、大学の修士課程に入学し、家も買ったという女性の話が出てきます。いや、これは結構大変なチャレンジではないですか。その前に、その女性、ぽっちゃりを通り越してあきらかに肥満だったのです。子供1人分ぐらい減量したことになりますね。そしてその女性以外にも、国立衛生研究所に支援を受け、依存症、喫煙者、過食者などの患者を対象に追跡調査を行ったと書いてあります。彼らに共通することは、比較的短期間で生活の立て直しができたということなのです。なんだか、のっけから続きが知りたくなる内容ではないですか。そこで語られているのは、「キーストーン・ハビット」といって要になる習慣、例えばタバコをやめるという「一つの習慣に専念したことで、他の行動もプログラムしなおすことができた」という研究結果です。

 衝撃的だったのは、デューク大学の論文によると人の行動の4割が習慣によるものだということなのです。いきなり4割と言われてもぴんとこないかもしれませんね。たとえば朝から晩までの出来事を追って行くと、着る服を選んだりランチのメニューを選んだり、中には重大な決断を迫られることもあります。われわれは、「食べる・食べない」「運動する・しない」「テレビを視る・視ない」「勉強する・しない」「本を読む・読まない」という小さな決断をしながら行動していきます。最初は小さな決断も積み重ねられてそれが習慣化するのです。1、2回やった・やらないでは何の変化も感じられないかも知れないですが、積み重ねられ習慣化されたときに、その結果が大きく変わり生活自体が変わってくるのです。

 自治医科大学が英語の問題文として採用していた箇所は、「意志力こそが個人の成功に求められる、もっとも重要なキーストーン・ハビットである」というペンシルベニア大学が行った研究のくだりでした。そこでは、優秀な学業成績をおさめる学生は自制心が強く、IQでは学業成績を予測できないということが述べられています。「自制心は成績について、知能才能よりも大きな影響を与える」と。つまり、優秀な人は我慢強い傾向が見られたがIQの影響はより少なかったということです。うすうす気づいていたことではありますが、自制心はできる人の重要なファクターなのです。もう、堪え性のない私はお恥ずかしい限りです。

 結局、「習慣を変えるのは簡単ではないし単純でもない。しかし、習慣を変えることは可能で、その方法もわかっている」ということが述べられている本でした。「習慣を変えたいなら…」と、最後の方にまとめられていますが、具体的な方法とその事例こそが、この本の内容なのです。

 この本の著者は心理学者や精神科医ではなく、ニューヨークタイムズの記者なので、学術的な専門書としてではなく、一般向けにわかりやすく書かれていて非常に読みやすいものとなっています。できないのは才能ではなく、悪い習慣なのだと知れば、習慣を変えることでできるようになる可能性は十分あるのです。

 すべてのダメ人間に、学びと救いを与えてくれる良書。まぁ、これを読んだからって実行できるという保証はまるでないわけだけど。

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