「語彙力格差」について考えてみる

語彙力は、母親の接し方で決まる?

 プレジデントオンラインというサイトに、ちょっと気になる記事を発見しました。 ざっくり内容を説明しますと、小学校に上がる頃にはすでに語彙力でトップと最下位の差が9歳ほどついているというもの。なんだか薄々感じてはいましたが、それほどまでに大きな差があるとは思っていませんでした。お時間のある方はぜひリンク先の記事を読んでみてください。この辺の差が、比較的早期に出始めてしまうなら、親の責任は重大であるとも言えますね。

 この記事によると、母親の子供への接し方で子どもの語彙力に差が出てくるというもの。しかし、母親ばかりに押し付けられることではないような気もします。お母様も最近共働きで忙しく、また社会全体が何でも省略、何でも時短。つかっている言葉自体が少なく短くなってきているように感じます。

 じつは子供と接するときに沢山話しかけて沢山聞かせるのがいいと思いがちですが、母親は聞き手としてなるべく短く、即座に、簡潔に、応答した方がいいということが書かれていました。なぜならば、子供の応答時間を与えるからです。「ほとんどの先生はしゃべり過ぎ」ですって。むむっ。それは、私のことでしょうか(笑)。それから、ゆっくり明瞭に発話すること。これが大事なんだそうです。確かに、小さな子どもにはとても有効だと思います。小さい子どもは、アウトプットの機会が多いほど、語彙力が育つということなのでしょう。

 さて、それに関して反論とまではいかないのですが、私はある程度こちらから働きかけるべきだと思います。インプットがなければ、当然アウトプットもないわけです。子供は大人の真似をするのが大好きですし、言葉は伝染します。また、子供たちは、子供ながらに大人の反応を見て、自分の説明が相手の興味を引くことであるのか、自分の楽しさが相手に伝わっているのかをうかがっているようにも見えます。

 その一方で、あまり何も話してくれないお子さんも中にはいらっしゃいます。しかし、もともとお喋りでなくてもこちらから話しかけると、いろんな反応が返ってきて、彼らの独特な世界観を垣間見ることができます。

 ところが、私が見てきた中で、もともと社交的でおしゃべりだけど、何を聞いても「知らない」「見たことがない」「初めて聞きました」という謎の文化圏にお住まいの方々がときどきいらっしゃるのですよ。「いやいや、それは聞いたことがあるでしょう」「大ブームだったでしょう」「最近ニュースになってましたが」ということも、彼らは「初めて聞きました」という。なかなかの強者です。

 しかし、話をしていく中で、一つ気づいたことがあります。「聞いたことがありません」と言ってすぐに会話が終わってしまう子どもでも即反応してしまう言葉があるのです。それは、テレビから繰り返し流れてくるCMのキャッチコピーや商品名です。彼らはテレビ番組の内容は忘れても、繰り返され垂れ流されるCMは脳裏に焼き付けているのです。彼らはこうして、何も考えずに買わされる側の人間になっていくのでしょうか。

 いろいろ考えたのですが、もともとある程度の語彙力が備わっていなければ、いろんなことを見聞きしているのに、まったく記憶に残らないのではないかと思うわけです。語彙を増やすにはその前段階の語彙なり知識が必要なのではないかと。だから「見たことも聞いたこともない」を繰り返す諸君のために、我々大人は、その前の段階の知識を確認し、説明しながら話をする必要があるのかも知れません。

 即座に、短く、明瞭に。

 

 

 

 

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