文学作品をまとめた漫画のこと。レビュー

ドリヤス工場/著『有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。』 (トーチコミックス)は、好き嫌いが分かれると思う作品

 私は、「ちょっとこれは強引すぎやしませんか?(笑)」と思いました。「短編集の中の1作品を1文でまとめます」ぐらい、10ページぐらいでまとめるってそんな感じです。例えるなら、レイモンド・カーヴァーの『大聖堂』は「妻の友達のいけすかない盲人がうちに来たのだけど、妻が寝てしまっている間に一緒に絵を描いたら夢中になっていた」というのと同じぐらい強引。やれやれ(村上春樹訳だけに)。

文体とかはあまり考えないにしても、全部を説明しきれませんし、読んだことがない人なら作品を誤解しそうだと思います。 

まんがで読破シリーズはわりと好き

 まんがで読破ぐらい長くないと、伝わらないと思うのですが、このシリーズでさえ作品のクオリティーにばらつきがあります。しかし私はわりと好きです。まんがで読破で読んでみて面白いと思ったら元の作品を読んでみたいと思う作品がいくつかありました。マルクスの『資本論』などは、きっと経済に詳しい人が読んだら「たった2冊の漫画で資本論は書けない」とおっしゃるでしょうけど、私は漫画にでもなっていなければこれは読まなかったなと思いましたのでよかったです。シェイクスピアなどは、元が短いのでまんがになっていても違和感なく読めました。 シェイクスピアも「漫画では伝えきれない」とか「原書じゃないとあの言葉遊びの面白さは理解できん」とか、あると思いますが、これぐらいの長さがあれば十分伝えるべきことは伝わるんじゃないかと思います。

『あさきゆめみし』を忘れてはいけない

 本格的に文学を漫画にしたというのは、この『あさきゆめみし』あたりが元祖なのではないかと思うほど、かなり古く、素晴らしい作品。美しい絵。鼻持ちならない光源氏。愛すべき末摘花。この本を読んで『源氏物語』が好きになった人と大嫌いになった人がいるのではないでしょうか。私は大嫌いになりました。それほど、登場人物が生き生きと描かれていてわかりやすい。美しいものは美しい。そして、憎らしいものは憎らしい。しかし長編漫画ぐらいの長さなので、まとめ系漫画ではないですね。

『マンガ日本の古典』(中公文庫)を読んでみたい

 これは、とても気になります。描いている漫画家が昭和の一斉を風靡した方々。それに、有名な本ばかりですし、学校で読まされたものもあります。懐かしいし、今読むには面倒くさい。家に日本古典文学大系があるのですが、さすがに今更全部読む気にはなりません。全訳が載っていないというのも、とても読みにくいです。これを全巻読んだら、また読んでみたいなんて思うかも知れません。しかし、全巻揃えるとわりとお金はかかりますね。みなさんは、漫画で文学を読む派でしょうか。

 

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