クマムシさん月へ行く

 

 クマムシは英語でtardigradeといいます。とても興味深い生物で、放射線に強く、水分不要の緩歩動物と呼ばれています。その名の通り、ゆっくり歩く動物で、微小な生物です。tardi遅い、-grade歩行、で、クマムシ。centi百の、-pede足、で、ムカデ。こうやって、パーツに分けると単語は覚えやすいですよ。

 2019年8月8日のNews Week日本版に「月面衝突した探査機に残されたクマムシが月で生き延びている?」という見出しの記事があったので、今日はそのことについて語っていこうと思います。なぜ、クマムシかというと、2017年英検準1級の過去問にtardigradesに関する長文が出題されていて、面白い生き物だと思って気になっていました。そしたら今度は、宇宙で置き去りになっているということで、とてもびっくりしました。それは宇宙にとって全く問題のないことなんでしょうかね。

 もちろん、「クマムシについて日本語で聞かれても、私は知らんよ」という人も多いかと思います。試験の問題に未知語を最初に持ってくるというのは、読み手がその単語が何か知らないという前提で文章が組み立てられています。だから、知らない単語を片っ端から覚えましょうということではないんですね。よくあるパターンなのですが、タイトルや冒頭の1文に、まったく見たことも聞いたこともない言葉が出てくるものは「あ、もうだめ。知らないや。終わった」となる必要はありません。よく見ると「ウォーターベアとしても知られるクマムシは…」と始まっています。要するに、そこから先、「知らない単語」の説明をしていく文になります。つまり、この単語は「みんなが知らない単語」というのが前提で話が進むので、知らなくて当然と思って読んでいく問題です。そして、今の私は月に放出されたクマムシと宇宙の行く末を案じながらこれを書いています。長文の解き方うんぬんより、そっちの展開の方が面白そうです。

クマムシが月に置き去りになった概要を手短に

 2019年4月、月に衝突したイスラエルの民間月着陸探査機「ベレシート」が搭載していたクマムシは、月面で生き延びているかもしれない。というのが、News Week日本版に載っていたのですが、そのことについて、CNNでもとりあげている記事を発見しました。そこには「月に託した人類再生計画」ということまで書かれています。なに、墜落じゃないの?わざとなの?

 クマムシと一緒に送り込んだ情報も墜落に耐え、遠い未来に人類を再生させる目的で使われることを願うとスピバック氏は言う。

「うまくいけば、ライブラリーは無傷のまま月面に着地して、何十億年も存在し続けるかもしれない。遠い未来に、我々の子孫、または人類が滅びた後に進化した未来形の知的生命体が回収してくれる可能性もある」

「我々が送り込んだDNAと細胞を使えば、クローンを作成して人類や動植物をよみがえらせることもできるかもしれない」とアーチミッション財団の共同創業者スピバック氏は話している。とあります。

 そこで、「惑星検疫」の国際ルール上ではどうかというと、ざっくり言えば火星はアウト、月はギリOK(きちんと準備をすれば、クマムシを持ち込んでもよい)ということらしいです。

 

 

 

クマムシは生命力がつよい

 ところで、クマムシのどこが面白くて、なぜ宇宙に持っていく生物として選ばれたのか。それは、クマムシの生態の面白さに関係しているようです。クマムシが注目されているのは、クリプトビオシスと呼ばれる状態です。放射線や極端な暑さ寒さ、無酸素状態や乾燥などの厳しい状況下にあっても、活動を停止する無代謝状態になって、また水分などを供給されると活動を始めるということなのです。そこが最強の生命体と呼ばれる所以ですね。ジャン・ケン・ジョニーみたいなやつですね(究極の生命体)。ところで、クマムシ博士のサイトとツイッターも無代謝状態になっていたので、誰か水とかあげて再開してほしい。

 しかし、むやみに宇宙に放置してもいいもなのでしょうか。何かの拍子に水を帯びて、微小なガチャピンが「あったかいんだからぁ」を熱唱しながら大量繁殖したら、イスカンダルにコスモクリーナーを取りに行く羽目になりませんかね。それは漫画の世界ですよね。うちのダイソン貸しましょうか?今なら、間に合いそう。とか、そういう問題でもないんでしょうけど。

 なんだか、収集つかない話になってきたので、今日はこの辺で。クマムシさんのこと、面白かったら調べてみてね。

 

参照:

ニューズウィーク日本版オフィシャル(2019年8月8日2019年8月14日

CNN>ODD NEWS (2019年8月8日

 

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